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前に十分協議の上、覚書などで明確にしておく必要がある。
? 国際期間との共同事業を予定する場合には、具体的な事業選定、実施方法、財源負担などについて、事前に的確な連絡や調整が必要である。
? 当該国際機関のプロジェクトを利活用する場合には、目的と成果、財源の負担割合などについて、かなり事前に周到な連絡、整合を図る必要がある。
(3) 最後に、地方自治体における国際交流、国際協力および国際貢献に係る根本問題を私見として提起しておきたい。
期待と不安が交錯する21世紀を間近に控え、好むと否とにかかわらず、経済、文化、環境、友好など各分野で国家的外交から民際外交に及び、その形態は個人活動から企画活動、団体活動など各界各層に至って現今の動きをはるかにしのぐような範囲と規模でグローバル化が伸展し、展開することは、必定である。
特に、今だに貧困と飢餓に苦しんでいる人々や国々が非常に多いという現実を直視するとき、過去に種々の経験や歴史を有していながら、今は、先進国の一員として安穏とすることなく、今日以上に国際間の支援や協力を果たしていく必要がある。また、阪神・淡路大震災のようなアクシデントな事例にみられる危機管理面で、国際に及んだ自治体間の支援、協力についても、種々のニーズが高まってきている。
とりわけ、わが国の憲法においても、その前文で「・・前略・・われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。・・後略・・」とうたわれているように国際社会において、今まで以上にどう活動し、どのように使命を果たしていくかが問われるときではなかろうか。
一方、地方自治体を取り巻く様々の問題として、行財政面で地方分権、地方行革あるいは税収不足など、住民サービス面では、高福祉、高社会保障あるいは自己管理などという大問題が山積する状況下にあるので、この際、それら諸問題を検討し、方向付けをする中で時代の要請とも言える国際協力などに係る根本問題についての抜本的検討を提唱しておきたい。
そのような見通しや要請の中にあって、地方自治体における国際交流、国際協力および国際貢献、いわば、自治体外交が円滑に推進していくに当っては、現段階において、どんな問題があるのか法制度上の不都合なり、抵触するものはないかなどを早急に調査し、十分に検討すべきではなかろうか。
今後、現実には、国際協力などがどんどん進み、展開されていくと、地方自治体行政上で、また、国家間の外交においても、国際的に引っ込みのつかない、あるいは、無視することができない位置付けや地位を占めることになろう。従って、できるだけ早急に関係省庁間で一定の政府方針あるいは制度案が得られるように現段階から法令上および制度上に

 

 

 

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